高度専門職1号ロのポイント計算
高度専門職のポイント計算について重要な点を解説いたします。
高度専門職には3つの類型がありますが、対象者がもっとも多い「高度専門職1号ロ」で申請する際のポイント計算を取り扱います。
【目次】
【1】学歴
1 最終学歴による加点
最終学歴によって以下の点数が加点されます。
1)博士課程(専門職学位を除く) 30点
2)経営管理に関する専門職学位(MBA、MOT)を保有 25点
3)修士または専門職学位 20点
4)大卒又はこれと同等以上の教育(博士、修士を除く) 10点
5)複数の分野における2以上の博士若しくは修士の学位又は専門職学位 5点
(解説)
- 最終学歴が対象になります。(例えば、博士と修士の両方の学位を有している場合は30点です。
- 該当する学歴の「卒業証明書」及び「学位証明書」を提出する必要があります。
- 「複数の分野における2以上の博士若しくは修士の学位又は専門職学位」の加点を希望する場合、専攻が異なることが分かる資料(学位記又は学位証明書で確認できない場合は、成績証明書)を提出する必要があります。
- 「MBA」は、「Master of Business Administration」の略で、「経営学修士」という学位ですが、ポイント加算の対象となる学位は「経営管理に関する専門職学位」であることが必要です。「経営学修士」を取得しても、「経営管理に関する専門職学位」に該当しない場合は、加点の対象になりません。
2 日本の大学
日本の大学を卒業又は大学院の課程を修了 10点
(解説)
- 日本の大学を卒業しているだけで10点加点されます。
3 大学による加点
(1)ランキング
1)以下のランキング2つ以上において300位以内の外国の大学 10点
2)以下のランキングのいずれかにランクづけされている日本の大学 10点
□QS・ワールド・ユニバーシティ・ランキングス
□THE・ワールド・ユニバーシティ・ランキングス
□アカデミック・ランキング・オブ・ユニバーシティズ
(解説)
- 外国の大学の場合、2つ以上のランキングにおいて300位以内に入っている必要があります。とてもレベルの高い大学になります。
- 一方、日本の大学の場合は、どれかのランキングにランクづけされていれば、OKです。順位は関係ありません。日本の大学の多くが加点対象になっています。
(2)文部科学省が実施するスーパーグローバル大学創成支援事業(トップ型及びグローバル化牽引型)において、補助金の交付を受けている大学
(3)外務省が実施するイノベーティブ・アジア事業において、「パートナー校」として指定を受けている大学
(解説)
- 対象12か国(バングラデシュ、インドネシア、カンボジア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム、スリランカ、パキスタン、インド)において、2022年8月現在、計60校がパートナー校として指定されています。
(シミュレーション)
例えば、日本の大学院を修了している場合、以下のポイントを獲得できる可能性があります。
学歴(修士) 20点
日本の大学 10点
大学による加点 10点
小計 40点
【2】年収
年齢ごとの年収によって以下の点数が加点されます。
1)1000万円以上 40点
2)900万円~1000万円 35点
3)800万円~ 900万円 30点
4)700万円~ 800万円(40歳以上を除く) 25点
5)600万円~ 700万円(40歳以上を除く) 20点
6)500万円~ 600万円(35歳以上を除く) 15点
7)400万円~ 500万円(30歳以上を除く) 10点
(解説)
- 年収とは、過去の年収ではなく、今後1年間に受ける予定年収を意味します。
- 会社など所属機関に「年収見込み証明書」を作成していただく必要があります。
- 年収に「賞与」を含めることは問題ありません。
- 年収に「非課税の通勤手当」「扶養手当」「住宅手当」を含めることはできません。
- 「みなし残業制でない残業代」も含めることはできません。
- 年収が300万円に満たないときは、他の項目の合計が70点以上でも、高度専門職外国人としては認められません。
【3】職歴
従事しようとする業務に係る実務経験によって以下の点数が加点されます。
1)10年以上 20点
2) 7年以上10年未満 15点
3) 5年以上 7年未満 10点
4) 3年以上 5年未満 5点
(解説)
- 会社など所属していた機関から、「従事した期間」と「職務内容」に関する証明書を発行していただく必要があります。
【4】日本語能力
下記のいずれかに該当すれば、15点または10点、加算されます。
1)日本語能力試験N1合格 15点
2)BJTビジネス日本語能力テスト480点以上 15点
3)日本語専攻で外国の大学を卒業 15点
4)日本語能力試験N2合格 10点
(日本の大学を卒業又は大学院の課程を修了)及び1、2、3に該当する者を除く)
5)BJTビジネス日本語能力テスト480点以上 10点
(日本の大学を卒業又は大学院の課程を修了)及び1、2、3に該当する者を除く)
(解説)
- 合格証明書等のコピーを提出する必要があります。
- 外国の大学において日本語を専攻し卒業している場合、15点加点されます。
この場合、日本語能力自体の証明書は必要ありませんが、卒業証明書及び専攻を証明する資料が必要になります。 - 日本の大学を卒業して、N1レベルの日本語能力がある場合、
日本の大学を卒業(10点)+日本語能力(15点)の計25点加点されます。 - しかし、日本の大学を卒業して、N2レベルの日本語能力の場合、
日本の大学を卒業(10点)のみで、日本語能力(10点)の加点はありません。 - N1合格は一生モノ。高度専門職ビザ申請においても大きな得点力になります。
【5】資格
下記のいずれかに該当すれば、15点または10点、加算されます。
1 下記のいずれかに該当する資格を
1)1つ保有の場合 5点
2)複数保有の場合 10点
(1)従事しようとする業務に関連する日本の国家資格を保有
(業務独占資格又は名称独占資格)
(2)IT告示に定める試験に合格し若しくは資格を保有
2 従事しようとする業務に関連する外国の資格、表彰等で法務大臣が認めるものを保有
5点
(解説)
- 合格証明書等のコピーを提出する必要があります。
- IT資格については、業務に関連している必要はありません。
保有していれば加点されます。 - 加点されるIT資格については、IT告示をご参照ください。
なお、情報処理技術者試験に合格しているかたも多いと思いますが、
その中の「ITパスポート」は加点対象ではありませんので、ご注意ください。
【6】年齢
申請の時点の年齢によって、下記の通り、加算があります。
1)30歳未満 15点
2)30~34歳 10点
3)35~39歳 5点
【7】その他
1 試験研究費
契約機関(例:勤務先の会社)が中小企業基本法に規定する中小企業者で、試験研究費及び開発費の合計金額が、総収入金額から固定資産若しくは有価証券の譲渡による収入金額を控除した金額(売上高)の3%超の場合
5点
(解説)
- 売上高に対して、試験研究費と開発費の合計金額の割合が3%を超えている会社に勤務している場合、ポイント加算していただけます。
- 売上高、試験研究費及び開発費が記載されている財務諸表のコピーなどを提出いたします。
- 研究所がある会社や、開発費割合が大きいIT会社などに勤務している場合、調べてみるとよいと思います。
2 投資運用業務
投資運用業等に係る業務に従事している場合
5点
(解説)
- 下記資料を提出する必要があります。
- 契約機関(例:勤務先の会社)の、金融商品取引法第28条第2項に規定する第二種金融商品取引業,同条 第3項に規定する投資助言・代理業又は同条第4項に規定する投資運用業に係る登録済通知書のコピー
- 申請人が上記のいずれかの業務に従事することを説明する資料
(シミュレーション)
シミュレーション1
日本の大学院を修了、23歳、N1合格、新卒(職務経験0年)、年収350万円
学歴(修士) 20点
日本の大学 10点
大学ランキング 10点
年齢 15点
N1合格 15点
年収 0点
職歴 0点
合計 70点
- 日本の大学院を修了して、N1に合格し、年収300万円以上ある場合、
高度専門職外国人の可能性があります。
シミュレーション2
日本の大学を卒業、23歳、N1合格、新卒(職務経験0年)、年収450万円
学歴(大卒) 10点
日本の大学 10点
大学ランキング 10点
年齢 15点
N1合格 15点
年収 10点
職歴 0点
合計 70点
- 日本の大学を卒業して、N1に合格し、年収400万円以上ある場合、
高度専門職外国人の可能性があります。
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